同時開催 ジブリの立体建造物展

部分を見れば、全体が見える。


イメージ 部分を見れば、全体が見える。

スタジオジブリと建物

 スタジオジブリは1985年の創立以来、多くのアニメーション作品を発表してきました。作品中にはドラマが起こる舞台として、沢山の「建造物」が登場します。本展覧会では、出発点となった「風の谷のナウシカ」から、最新作「思い出のマーニー」まで、作品に登場する建造物の、背景画や美術ボード、美術設定といった制作資料を公開。代表的な建造物を立体で表現し、その設計の源に触れます。
 一般に、建物の持っている魅力とは何でしょうか。その一つは建物と人との接点にあります。人が住む建物は、人の暮らしに欠かせないものです。しかし近年に見られる建物は本来の魅力から離れ、人と建物に大きな距離があるように感じられます。それは私たちが、一番近くにいるのに見落としているものの一つであり、ふと気づくと忘れてしまいそうなものです。
 一方、スタジオジブリがアニメーションという架空の世界の中で創造してきた、数多くの建造物たち。「油屋」を始め、「カルチェラタン」、「ハウルの動く城」、「万福寺」、「グーチョキパン店」、「草壁家」、「ラピュタ城」等々、毎作、その作品を特徴づける個性的な建造物がいくつもデザインされてきました。それらの魅力はアニメーションの世界だけに留まるものではなく、どれも印象的で、どこかに実在していそうな存在感があるものばかりです。
 映画というもの、とくにアニメーション映画は画面に映るすべての世界を描き出さなくてはなりません。しかし見方を換えれば、理想を映し出せる装置と言えます。この中で空想された建造物。しかし、ただの「空想」とは違います。現実の世界を注意深く観察した上で、登場人物の生活、時代などの想定、検証を十二分に経てデザインされたものであり、何より登場人物との関係性が建物としての魅力を高めています。
 それは私たちが生きる、現実世界でも同じことです。あらゆる文化、あらゆる環境に合わせて建つ建物の中で、あらゆる人が生活をしています。
 本展覧会に展示される作品を入り口とし、人と密接な関係を持つ、建物の魅力が伝われば幸いです。

●展示作品の解説●
江戸東京たてもの園とスタジオジブリは、ともに小金井の地に拠点を置き、これまでさまざまな協力関係を築いてきました。本展では、双方にご縁のある建築史家・建築家の藤森照信氏に、スタジオジブリ作品に登場する建造物の歴史や意匠の観点から、解説をお願いしました。